『生物と無生物のあいだ』
ブックオフで100円だったため購入。
生物とは何かを考える本。
「生物とは『自己複製』を行うシステムである。」ということから始まる。DNAの発見から主要ストーリーは始まるのだが、実験や研究についてそれなりにわかりやすく描かれている。また、同じ研究結果を複数のチームで行なっていた場合、研究結果は先に論文に掲載されたほが全取りであり、2番ではダメであるとのこと。スポーツの世界以上にシビアなのかもしれない。
DNAが発見されて生物界は様々な実験していた。パズルのピースの1つ1つの役割を確認するように。しかし機械的にこのピースはこの役割というふうに考えていたため、大切なことを忘れていた。生物には『時間』が流れていることを。
生物には概ねいくつかのピースが欠損していても時間の経過でそのピースを補うような状態をつくる。これを動的平衡状態と呼んでいる。
生物とは動的平衡性を持ち復元力と適応力をもつものではないかと最後は結論づけている。
読後はSF作品を読んでいたかの気持ちとなった。生物学なので難しい本かと思っていたが、案外サクッと読むことができた。DNA発見のために様々な研究者が自分の研究に打ち込む姿も感じることができた。世界の仕組みを少しづつ解明していく試みに奢りではないが賞賛を贈りたい。